シニアノマドのフィールドノート

生き生きと生きている人を訪ねる旅日記です

そうだシニアノマドになろう

 

 私は今年の3月まで大学で社会学を教えていた教員です。これからはシニアノマドとして放浪の旅に出ようと思っています。

 退職にあたり、教員時代に大きな悔いを残してきたことを痛感しています。それは卒業生の相談事に十分なアドバイスができなかったことです。その相談事の一例をあげればそれは、働き方に関する悩み相談でした。内容は、朝5時ごろ起きて出社し、午後11ころに帰宅、その後は寝るだけの生活に疲れ果てているというものでした。ほんの少しも自分の時間が持てないというのも辛いということでした。そのため会社を辞めたいと考えるようになったのだが、先生はどう思いますかと尋ねられました。

 私の回答は、要約すれば、「就職氷河期にせっかく正社員として就職できたのだからもう少し頑張ってみては」というものでした。さらに、転職するにしても難しいだけでなく、転職できたとしてもいまより収入も労働条件もよいかどうか分からないのではないかなと諭してしまいました。そうしたことしか言えなかったことを、今まで非常に後悔してきました。

 本人が受けるかどうかは別にして、なぜその時、個人の生活も大切にしてくれるであろうと思われる会社を紹介する、または会社に勤めるという以外にも生き生きと生きられる世界もあることを示すというようなことをしてあげられなかったのかと悔やまれます。そうした話に興味をもってくれた時には、とりあえずここに行ってみたらと紹介できる「所」があったら、さらによかったのではとも考えてきました。

 そのような思いの中、社会学の授業の中ではフィールドワークの授業に力を注ぐようにしてきました。同時に同僚の担当者仲間とともに、そのフィールドワークの授業内容の改善を試みてもきました。厳しく、理不尽なことも多々ある現代社会の中でも生き生きと働き生活している方々に出会い、交流する体験を重視するものにしていこうとしたのです。

 私たちは、フィールドワークの授業の中で、地域社会の中でさまざまな地域課題の解決のために活動されている方々と出会い、交流することを試みてきました。そうした方々の中にも、大学生と年齢の近い若い人たちも沢山います。しかも、私たちが出会った若者たちは、お金儲けや自分の出世のためだけにひたすら競争に勝つだけを考えて生きている人たちとはかなり異なった価値観で活動しているように感じました。そうした人たちと出会い、交流することで、フィールドワークに参加した学生たちが卒業するときには、自分の人生選択の幅を確実に広げてくれるのではないかと期待しました。

 しかし、この試みを始めるのは、私にとっては、少し遅すぎました。そうした期待が十分実現するのかどうか自分の目で確かめるまえに定年を迎えることになってしまったのです。残念な気持ちが残ります。そこで、大学を退職したあとも、今というこの時代を生きる一個人として、先に述べたフィールドワークをつづけようと考えた次第です。同時に、このブログを立ち上げることで、フィールドワークの記録を綴っていくとともに、厳しく理不尽なことが多い現代社会の中でも明るく、生き生きと、そして周りの人たちも明るく笑顔にしながら生きている方々が沢山いることを紹介していきたいと思います。

 

     竹富島・白くまシーサー・ジャンのいちファン