シニアノマドのフィールドノート

生き生きと生きている人を訪ねる旅日記です

むら仕事を楽しむ

 

 昭和村でのフィールドワークでは、必ず村の方々が用意してくれた「むら仕事」を体験するプログラムが組まれていました。「むら仕事」を通して住民の方々との交流を楽しむことができたのです。古民家を改築した宿泊体験住宅の庭と付近の田んぼの畦道の草刈り、田んぼに水を供給するための水路の清掃、廃校となった小学校を改築した集落の人たちのための体育館の冬囲いなどがその「むら仕事」でした。2018年のフィールドワークでは、むぎわら細工で縄や草鞋作りを体験させていただきました。そのときには集落のわら細工の名人に教えていただきました。そのことで昭和村ではそうした手仕事がまだ継承され、残っていることも知ることができました。

 この「むら仕事」を通して私たちは地域の方々と親しくなれていったように思います。仕事の前には地域の方々から作業方法や手順などの手ほどきと教えを受けます。また仕事中も分担や分からないことを聞くためにことばを交わしながら作業を進めていくことになります。また、「そうそう」、「うまいじゃないか」、「こうすればいいんじゃないか」などなどの声がけもありました。仕事が終わったあとには、お茶や食事を通した交流がまっていました。そうした仕事を通した一連のやりとりによって私たちは緊張もほぐれ、地域の方々に親しみを感じるようになり、気軽にことばも交わせるようになっていきました。

 共に協働してひとつの仕事をやり遂げたという経験が、たとえそれが短い時間であったとしても、こんなにも人と人とを結びつけるものなのかということを身をもって感じることができていたと思います。しかも、2017年と2018年の野尻集落でのフィールドワークでは、さらに、地域の方々とのゲートボールを通じた交流も体験することができました。昭和村でのフィールドワークのすごいところは、地域の方々との交流がそれらだけでは終わらなかったことです。きわめつけは、毎回、昭和村の方々との懇親の会をもっていただけたことです。その会は、私たちを受け入れていただいた苧麻倶楽部と集落の住民の方々だけでなく、村役場の方々、都会から移住してきた若者の方々など、本当に多くの方々と語り合う場となりました。フィールドワークの成果を学生たちが発表する機会も用意していただき、その発表に熱心に耳を傾けていただいていたことも学生たちにとっては貴重な体験だったように思います。

 2泊3日の短期間のフィールドワークの体験ですが、昭和村ではなぜ今でも人々のつながりが強く、支え合いや協働の生活文化が維持されているのか、その一端に触れることができる貴重な体験であったと思います。

 

     竹富島・白くまシーサー・ジャンのいちファン