シニアノマドのフィールドノート

生き生きと生きている人を訪ねる旅日記です

「みなと計画」始動

 NPO法人「みなと計画」が設立登記されました。2018年3月13日のことです。いよいよ橋本さんが長い間あたためてきた江別発若者支援の拠点づくりが始動することになったのです。

 では「みなと計画」とはどのようなものなのでしょうか。NPO法人「みなと計画」設立に向けた説明会資料には以下のように紹介されていました。「みなと計画」とは、「若者が『未来』に希望を持てるようにするため、『場』『人』『資金』を揃えた、江別発の若者支援の計画です」と。すなわち、「地域の若者を地域で育む『江別モデル』」の構築計画、それが「みなと計画」なのです。

 同資料によれば、地域と大学生をつなぐ活動をする中で橋本さんが感じてきた現代の若者に関する思いがこの計画には込められています。「江別市内にある4大学に在学する約1万人の大学生と、地域を結ぶ仕組み作りを行う中で、(橋本さんが)直面した課題」は、「『自己肯定感』の無い若者が多い」ことと「経済的理由」により若者たちが将来への扉が閉ざされている・制限されているのではないかということでした。

 後者に関してさらに紹介するならば、経済的理由で、「大学をやめざるを得ない」、「アルバイトが忙しく、地域活動に参加できない」、「二人に1人は奨学金を受け、借金を抱えて大学を卒業」、「奨学金返済のため、就職の選択肢が限られる」ことが起こっているということです。

 そこで橋本さんは「みなと計画」によって、「場づくり」・「人づくり」・「資金づくり」という「3つのアプローチで、全ての若者が自分の『未来』をあきらめず、社会の一員になるための仕組みを構築」しようとしているのです。3つのアプローチの中の「資金づくり」とは以下のような構想です。

 「給付型奨学金、企画実現のサポート、旅費などの活動補助を行うため、寄附金を主財源とした『みなと基金』を設立する。寄附を通じて、地域の若者を地域で育む風土を醸成する」というのがそれです。

 「地域の若者を地域で育む」、とくに経済面での支援を行うということはこれまでもさまざまな地域で実施されてきました。例えば、沖縄県国頭村には奥集落があります。そしてこの奥集落には、すべての住民が出資金を出して運営されている共同店があります。生まれたばかりの赤ちゃんも含めてすべての住民が株主となっている奥共同店です。奥共同店は集落の子どもたちが進学するためにもし必要なら奨学金を出してくれるのです。

 北海道でもそうした地域がありました。20数年前の昔の話でもしかしたら記憶違いということがあるかもしれないのですが、当時の南網走農協管内の営農集団ではメンバーの子弟が進学する際、必要な時には経済的援助の制度があるということを、フィールドワークの中で聞きました。その営農集団は単に生産面における協力・協働だけでなく、生活面での支え合いをもしているのだと感動したように覚えています。

 はじめて「みなと計画」について話を聞いたとき、橋本さんは「地域の若者を地域で育む」新しい現代的形の社会的仕組みづくりをしようとしているのだと思い、それはどのようなものになるのかワクワクした気持ちを感じました。現在「みなと計画」はクラウドファンディングなどの方法でその活動の基盤である「みなと基金」を確立するための活動をされているのではないかと思います。心からそれらの活動の成功を願わずにはいられません。

 このブログをご覧になった方で橋本さんの活動を応援しようと思われて方がいれば、ぜひインターネットで「みなと計画」をチェックし、基金募集にご協力いただければ幸いです。ご支援のほどどうかよろしくお願いいたします。

 

     竹富島・白くまシーサー・ジャンのいちファン