シニアノマドのフィールドノート

生き生きと生きている人を訪ねる旅日記です

大麻地区商店街の歴史

 大麻座商店街は北海道江別市大麻地区にある6つの商店街の一つです。江別市大麻地区は、東京オリンピックが開催された1964年から、札幌の近郊ベットタウンとして開発され、その後急速に発展を遂げていった地区です。江別市では初期の団地開発地域であるということでした。

 それから50年以上たった今、大麻地区は急速な高齢化を経験している地区となっています。地域社会学の分野では、65歳以上の人口が50パーセントを超えるようになった地域コミュニティを社会的共同生活が困難になり、消滅の可能性を孕んでいる地域として「限界集落」と呼んできました。その用語を借りるならば、大麻地区は現在「限界団地」という状況となっているのです。

 大麻地区にある商店街も地区のそうした歴史とともに歩んで現在にいたっています。大麻地区の団地造成においては、他の地区の団地造成と同様に、団地造成にともなって計画的な街づくりが進められてきました。小中学校、郵便局、交番、市の出張所、そして公民館など住民生活に必要な諸機関が整備されていったのです。団地造成に伴い流入してくる人々の日常生活を支える商店街も形成されてきていました。

 大麻地区の商店街は、団地造成が一段落する1970年代ころが最も華やいだ時代でした。しかし、1980年代に入ると、自動車社会の到来、大資本による郊外型の大型商業施設の展開、そして地区人口の高齢化の急速な進展などにより、大麻地区の商店街も衰退の一途を辿ってきたのです。

 商店街のそうした衰退傾向は、大麻地区の商店街に限られたものではありません。全国的な傾向です。いわゆるシャッター商店街問題として、経済的・政治的、そして社会的に、さまざまな形で取り上げられてきたものです。団地造成にともなって形成されてきた江別市江別市周辺の商店街の中で、大麻地区以外では商店街そのものが消滅してしまったところもあるのです。

 商店街をめぐるそうした状況の中で、大麻座商店街は、まだ生き生きと活動している姿を維持していると言えます。ではなぜ大麻座商店街は生き生きと活動している風景を維持することができているのでしょうか。今後、徐々に、そのことを考察していければと思います。ここでは、そのひとつの大きな要因は、多くの若者たちが大麻座商店街を舞台に活躍するということが起きているからではないでしょうか。

 大麻座商店街では、これまで、いわゆる商店街のこれまでのお店とは一味違ったお店が、若者を含むそれぞれユニークな生き方をしようとしている人たちの手で、既存のお店の閉店後空き店舗とならず新しいお店として生み出されてきているのです。そのことを知ったとき、私は、大麻座商店街は今の大学生にとってこれからの自分の進む道を考えていく上での学びの宝庫となる地域社会なのではないかと感じました。大麻座商店街で、ぜひフィールドワークの授業を行いたいと思ったのです。

 

     竹富島・白くまシーサー・ジャンのいちファン