シニアノマドのフィールドノート

生き生きと生きている人を訪ねる旅日記です

カフェ・食堂としての江別港

 江別港はカフェ・食堂としての顔ももっています。この面でのお店の名称は「麺こいや」と言います。麺こいやはカフェ・食堂としてだけ見ても独自の輝きと存在感をもっているのです。それは、単なるCommunity Hub+αの存在ではないのです。

 私は授業活動とは別に、カフェ・食堂としての麺こいやもよく利用させていただいていました。日常のストレスから逃れてコーヒーをのむために。そのことでほっとする時空間をもつことができました。ときにはおいしいランチを食べたいと思ったときは麺こいやのランチを食べにきました。そして、時々は、授業活動以外でも、ゼミ学生とおしゃべりするために来てもいました。

 麺こいやはメニューが独特です。また江別産の素材にこだわりがあります。江別産小麦粉のえべチュンラーメンがメニューの柱になっています。江別市は農業、工業、そして商業という産業がバランスよく存在し、しかもそれらが連携することによって経済を支えている地域社会であると思います。それら産業の代表こそが江別産小麦なのです。繰り返しになりますが、麺こいやはその最終諸製品のひとつであるラーメンをメニューの柱としているのです。

 えべチュンラーメンもさらに工夫を加えているようです。例えば、江別市内の牧場の牛乳を使用したミルク味噌のラーメンなどです。コーヒーについても、洞爺湖サミットで提供されたコーヒーを味わうことができます。そのコーヒーも江別市内のコーヒー店が販売しているものです。そして、なんと言ってもこれこそ麺こいやならではのメニューだなと感じるのが、麺こいや特性のラーメンピザではないでしょうか。そのラーメンピザの誕生に関して、学生のインタビューに答えて、橋本さんは次のように話してくれています。

 「日本でもラーメンピザを店舗で食べられるところは日本に1つか2つか、少なくても道内にには1つだけだと思うのでぜひ食べに来てほしいと思う。開発のきっかけは、アメリカでラーメンバーガーが流行っているとお客様から聞いて、取り入れた結果ピザになった」(『社会調査室研究基礎資料報告書38』)のですと。

 個人的には、ランチのセットメニューがお勧めです。上述のえべチュンラーメン、ラーメンピザ、そして丼ものをメインに、飲み物とデザートがセットになって、私が利用していたときは、750円でした。

 橋本さんは、常に、新たなメニューの開発や工夫に取り組んでいたのではないかと思います。麺こいやではめずらしい飲み物を飲むことができます。また、デザートのスイーツも、手作りで、オリジナルなものです。個人的には、杏仁豆腐のスイーツが好きです。

 ここまでの簡単な観察だけでも、麺こいやはカフェ・食堂として独自の地位を築きつつあるのではないかと思います。商売という視点からみても立派に成り立っているのです。橋本さんは商店経営者としての力量に関してもすぐれたものがあるなと感心していました。

 ここまでは麺こいやのメニューや橋本さんの経営力について感じてきたことを紹介してきましたが、社会学の目からみても、麺こいやは興味ある存在なのです。それは以下の二点についてです。ひとつは、橋本さんの接客姿勢に関することです。橋本さんの接客姿勢をみながら、それは橋本さんの生き方とどのような関係にあるのだろうかと考えてきました。

 二つ目は、橋本さんと奥さんとの関係についてです。麺こいやは橋本さんだけでなく、橋本さんの奥さんとおかあさんによっても支えられているのです。いわゆる麺こいやは、経営学的に見れば、家族経営のお店ということになります。しかし、社会学的には、同じ家族経営態といっても、どのような家族関係が、とくに夫と妻との関係性にあるのかということに関心が向くのです。すなわち、橋本さんと奥さんがどのような関係性を築かれてこられたのかということに関心が向くことになります。

 

     竹富島・白くまシーサー・ジャンのいちファン