シニアノマドのフィールドノート

生き生きと生きている人を訪ねる旅日記です

人と人との出会いを演出し、支え合いと若者の挑戦を応援する

 直接顔を合わせる訳ではありませんが、麺こいやにいると見知らぬ人や世界に触れることができます。それは、麺こいやが人と人とをつなぎ、さまざまな人やグループ・機関の挑戦や活動を応援し、紹介しようとしているからです。例えば自分の善意を託しておく仕組みがあります。お金に代わるものを小さなビンに入れお店に置いておくことで、その後お客として麺こいやを訪れた誰もがそのお金に代わるものを使用してお茶や食事をとることができるのです。

 フェアトレードの商品も置いてあります。地域で活動しているさまざまな人やグループの紹介チラシやイベントのチラシも置いてあります。おかげで麺こいやに行くことで、江別市にどのようなグループやサークル、そしてそれらに関わる行事について知ることができます。麺こいやは江別市と周辺市町村が協力して実施している「ジモガク」という大学生の地域や関係自治体でのインターンシップ施策の窓口にもなっています。

 ユニークな活動に挑戦している人たちの作品や活動・事業を紹介する場にもなっています。灯台をテーマとした印刷物の小作品が販売されていました。また別の人の江別市を紹介する豆印刷物も売られていることもありました。本なども売られているのですが、置いてある本とそれらのディスプレーのレイアウトが定期的に変わるのです。そのことでブック・コーディネーターという仕事があることを知りました。

 ユニークな本の売り方になることもあります。売られている本が封筒に入れられており、どのような本なのかを知ることができないのです。ただ本が入っている封筒の上に、本の主人公の名前と職業を示している名刺(ブック・コーディネーターの方が作成したものだと思います)が張り付けてあります。購入者はその名刺を見てどのような本が入っているのかを想像するという仕掛けです。

 ちなみに名刺を見て想像することによる偶然の出会いという面白さに魅かれこれまで購入した本は以下の5冊です。星野伸一さんの『限界集落株式会社』、宮本あや子さんの『セレモニー黒真珠』、原田ハマさんの『風のマジム』、奥野修司さんの『再生の島』、そして桂望美さんの『WE LOVE ジジイ 』の5冊です。これらの本を読みながら現在の自分の内面について向き合うことができたような気がします。

 麺こいやは学生たちの活動を支援しています。学生たちの学習やチャレンジの場ともなっているのです。私の大学のある学部の教員は希望する学生の接客・調理・メニュー開発・販売などの実習を受け入れてもらっていました。私の学部のある学生と仲間たちは麺こいやで子ども食堂を運営していました。ときどき麺こいやを舞台に開催される江別港のイベントでも、学生たちも大いに参加活動しています。自分たちの大学でのサークルなどの活動を地域の方々に紹介するとともに活動資金を援助してもらったり、スナックの模擬店を開く学生もいるのです。そこで出会った学生たちは皆笑顔で生き生きとしていました。

 麺こいやが行っていることは、ここで紹介したことではまだまだ足りません。それだけカフェ・食堂というだけではないはるかに多様な顔をもっているのが麺こいやなのです。そうした麺こいやを経営・運営し、さまざまな活動をされている橋本さんとはどのような人で何を行おうとしているのか、どうしても気になるところです。

 

     竹富島・白くまシーサー・ジャンのいちファン