シニアノマドのフィールドノート

生き生きと生きている人を訪ねる旅日記です

2020-01-01から1年間の記事一覧

地域住民みんなが所有者・経営者の島ーエッグ島(2)

島民全員が所有者であり、経営者となったエッグ島ではどのような経営が行われているのでしょうか。また島民の人たちはどのような生活をしているのでしょうか。短い間の見聞にすぎませんが、まず後者の状況から見ておきましょう。エッグ島の人口は、訪問時に…

地域住民みんなが所有者・経営者の島ーエッグ島(1)

エッグ島はHIEの地域づくり戦略どのようなものかを最も具体的に示してくれる島です。ハイランドのマレーグという港町からフェリーで約1時間30分の沖合にある小さな島です。北海道で言えば、羽幌港からフェリーで行く焼尻・天売島といったところです。大きさ…

社会開発と経済開発

ハイランドの地域再生と発展の任務をもっているHIEは、中心都市から遠く離れた地域に住んでいても中心地に住んでいる人と同じ生活福祉を提供するという人口維持政策をどのように実現しようとしているのでしょうか。住民が必要とする社会的支援とサービスを、…

スコットランドの地域再生戦略

スコットランドではどのような社会づくりを目指しているのでしょうか。とくに地域間格差が深刻化している現代社会において、過疎化し、消滅の危機をも招きかねない条件不利地域での地域づくりはどのようになっているのでしょうか。またどのような理念や価値…

スコットランドという「国」柄

スコットランドは日本の地方制度に即して言えば、イギリスの北の「周辺地域」に位置している一地方です。かつては一つの独立王国でしたが、1707年にイングランドに従属的に組み込まれイギリスの一地方となったのです。日本の歴史でも、北海道や沖縄県は日本…

スコットランドへのフィールドワークの旅

スコットランドも僻遠の地と言われるような地で人々が生き生きとした生活を築いている「国」の一つではないでしょうか。スコットランドは正式には一つの国ではなく、イギリスの一地方にすぎません。にもかかわらずスコットランドに住んでいる多くの人たちは…

イタリアの小さな村の物語

個人化の進む現代社会の中で生き生きと生きている人との出会いを求めての旅のフィールドノートは、必ずしも実際に現地を訪れ、自分の目で見て、自分の耳で話を聞くことによって綴られるだけではありません。どのような社会を訪れたいのかを探るために、雑誌…

僻遠と言われるような地で生き生きと生きている人に出会う旅に出よう

確実で、安定的な安全感・安心感を期待することができる「人間の居場所」という視点で見ると、現代社会では、家族も地域社会ももはやそうした居場所たりえなくなってしまっていると言われてきました。家族においても地域社会おいても、それらの社会の社会関…

人間の居場所を求めて

これまで、できれば常に精神的にゆとりをもち、心おだやかに、温かい気持ちで生活したいと願ってきました。ただ残念なことにそうしたことを実感することはほとんど出来ませんでした。 現代社会を生きていると、常に何かに追われ、急き立てられるような気持と…

姫島村地域づくりの希望の光

姫島村の地域づくりとはどのようなものと見ることができるのでしょうか。それは、経済的利潤性を追求するものではなく、姫島の日常生活における支え合い・分かち合いの生活文化を公共生活の中にも新たな形で広げ、体現するものであると言えるのではないでし…

姫島村の地域づくり(2)

姫島村の高齢者福祉を支えているのは、保険・福祉・医療・介護等の総合的全人的ケアを目指している、診療所を中核とした地域包括医療・ケア体制です。その体制を、『姫島 その歴史と文化(増補改訂)』の著者である高橋さんは、その著書の中で次のように紹介…

姫島村の地域づくり(1)

これまで姫島村のワークシェアリング政策の土台には姫島村の日常生活における分かち合いと支え合いという生活文化があったことを見てきました。ではそうした姫島村における分かち合いと支え合いの生活文化はどのようになって行くと考えられるのでしょうか。…

姫島村役場の職員像

ワークシェアリングで役場職員となった方々は島の人たちとどのような関係性を築いているのでしょうか。別の言い方をすれば、姫島村の役場職員の方々はどのような形で地域の人たちの生活を支えようとしているのでしょうか。ワークシェアリングで役場職員のな…

ワークシェアリングで姫島村の役場職員になる(2)

インタビューに応じて下さった男子3人のうち二人目の方は、インタビュー当時32才でした。姫島の多くの若者たちがそうであるように、この方も中学校卒業までは姫島で生活し、国東の高校に進学したことを契機に姫島を出ました。高校卒業後は岡山の大学に進学…

ワークシェアリングで姫島村の役場職員になる(1)

姫島村のワークシェアリングの社会的性格をさらに考察するため、ワークシェアリングで役場職員となった方々へのインタビュー結果を参照してみようと思います。姫島村のフィールドワークでは長年その政策を担当されてきた中元さんの紹介で女性1名男性3名の…

姫島村のワークシェアリングの社会的性格を考える

姫島村の政治構造との関りで、ワークシェアリング政策の社会的性格をどのように考えたらよいのでしょうか。イギリスをモデルとする「福祉市民社会」型の地域コミュニティ再生を提唱している加藤春恵子さんは、これからの地域づくりは「個人から出発して既存…

姫島村の政治構造とワークシェアリング

姫島村のワークシェアリング政策に関するもう一つの興味深い中元さんの話は、ワークシェアリングによる役場職員雇用の対象は姫島村出身者だけに限られているというものでした。ワークシェアリング政策が全国的にも有名になりテレビなどでも紹介されたことも…

姫島の生活文化を守る

人口減少問題に対処するため役場職員の給与を削減するという政策を採用した姫島村と海士町、しかし、削減し浮いたお金をどう使うのかという点でそれぞれの地域の個性が現れています。海士町が重視したのは何よりも新産業創出による経済活性化を優先するとい…

姫島村のワークシェアリング

姫島村のワークシェアリングは人口減少対策として始まった政策です。そしてこの政策は、すでに「昭和40年代の前半に、過疎化、人口減少対策として若者を村に残すための取り組みとして始められ」(役場資料「姫島村の概況」)ていたのです。姫島村では日本の…

ワークシェアリングの島・姫島

大分県姫島村はワークシェアリング政策を実現した村として知られています。繰り返しの言及になるのですが、社会が社会であるということは、メンバー一人ひとりの運命に他のメンバーが関心をもち、生活上の危機に直面している者が出た場合には、その人が危機…

日本の生活福祉・セーフティーネットの形

戦後日本社会は私たちの日々の生活の安心を支える社会的仕組み、すなわちセーフティーネットシステムを企業の経済活動に依存して作り上げてきました。さらに言えば、人々の生活福祉の社会的仕組みを企業の利潤追求活動の枠内に、その利潤追求活動に適応する…

社会を変える若者たち

今人間社会は大きな変化の時代を迎えていると言ってもよいのではないでしょうか。その背景のひとつは、市場がもはや飽和状態になっており、生産の拡大が人々の生活を豊かにし、人々に幸せをもたらすものではなくなっているということではないでしょうか。い…

母との別れの時

2019年くれ、90歳の母が肺炎となり急遽入院することになりました。一時は回復の兆しもみえたのですが、様態が急変し、遂に帰らぬ人となったのです。年の瀬も押し迫った日に家族だけで葬儀を行い、母とは永遠の別れの時を迎えることとなりました。 それら一連…